イギリス初、森山大道の大回顧展がフォトグラファーズ・ギャラリーで開催中!
12/12/2023 Chise Taguchi
会場に所狭しと並ぶ写真、写真、写真。現在フォトグラファーズ・ギャラリーで今開催されている森山大道のエキジビションは、イギリスで初めて開催される彼の回顧展だ。1964年から現在に至るまでの200点以上の作品を展示する「Daido Moriyama: A Retrospect」は、モレイラ・サレス研究所のチアゴ・ノゲイラ氏のキュレーションによるもので、森山の膨大な作品を撮り続けた彼のキャリアのさまざまな瞬間を展示している。1階から4階まで、ギャラリー全体を使用する本展は、現代において最も革新的で影響力のあるアーティストの一人であり、ストリートフォトグラファーを称えている。民主主義的な言語としての写真を支持する森山は、日本社会、そして日本の伝統と戦後日本の加速する西洋化との衝突をとらえた。気取らず、生々しく、不鮮明で、先鋭的で、ざらざらした彼の作品は、全世代のスタイルを決定づけたとも言える。
「写真について学んだことをすべて忘れて、ただ撮る。目に留まったものなら何でも、どんなものでも撮影すること。考えすぎず、直感に任せて」
ー森山大道
森山大道は60年のキャリアにおいて、「写真とは何か」という根源的な問いを投げかけてきた。芸術の教条主義やヴィンテージ・プリントへの崇敬を排し、写真の最も根本的な財産である親しみやすさと再現可能性を追求した。何度も何度も、拡大、切り抜き、印刷を試しながら、さまざまな文脈で写真を再利用した。彼の作品のほとんどは、ギャラリーの壁ではなく、印刷されたページのために作られた。
今回の展覧会では、森山の仕事を2つのフェーズに分けて紹介。それは日本の雑誌での仕事、フォトジャーナリズムへの挑戦、『Provoke』誌での実験、写真集『Farewell Photography』(1972年)でのコンセプトの先鋭化。そして展覧会の第2部は、森山が創造的かつ個人的な危機を乗り越えた1980年代から始まる。それからの数十年間、彼は写真と自分自身の本質を探求し、現実、記憶、歴史について考察する視覚的な抒情性を発展させた。彼の放浪の旅は、東京、大阪、北海道だけでなく、ニューヨーク、パリ、サンパウロ、ケルンなどに及んだ。彼の作品と旅は、写真家が現在も発行し続けている雑誌『Record』で紹介されている。
まさに森山の仕事、軌跡をじっくりと辿ることができる、日本でもなかなか見られない圧倒的なボリュームの展覧会。地下では彼のオリジナルプリントもこの展覧会に合わせて購入することが可能。この希少な機会にぜひ訪れて森山の世界に触れてみたい。2024年2月11 日まで。
The Photographers’ Gallery
16-18 Ramillies Street, London, W1F 7LW
thephotographersgallery.org.uk